2022/7/11(月)から今日まで。(第39週ー前半①)※資料No.104(犯罪学)
さて、きょうからまた、『根っこばなし』を再開して、今回は、『取りあげ婆さ👵🧸💗』をお送りしますね👶🍼🐻🍬
なお、『取りあげ婆さ👵🧸💗』は、タイトルに魅かれて選ばせて貰った作品なので、物語が予期せぬ展開(?)になるかもしれないことを、あらかじめお詫び申し上げます(笑)🙇
「根っこばなし」より『取りあげ婆さ👵🧸💗』
👶🍼🐻🍬
①
そのあと、『再審弁護とは ~「針の穴にラクダ」を通すための手練手管~』の文字起こしをしました🖍
With "Ryoryo"(ウイズ リョーリョー)
講師:鴨志田祐美・大崎事件再審弁護団事務局長(京都弁護士会)
ご存じのように 2022年6月22日に 鹿児島地裁で 「大崎事件」の 第4次再審請求で 再審請求を認めないという 涙も出ないような 決定が 出されました
検察官とは連絡がつかなかったので 第一回打ち合わせは まずは 弁護団と裁判所の二者で 行います
私たちの 闘い方の どこが どう 間違っていたのか?
今日は まず「大崎事件」のおさらいもして それから 今日のテーマ『再審弁護とは~「針の穴にラクダ」を通すための手練手管~』に沿って 私たちは どうやって 明らかな証拠を発見し 闘ってきたのか という話も やっていきたいと思います
「大崎事件」は 1979年 今から43年前です 原口アヤ子さん 現在95歳になられた原口アヤ子さんの 義弟の 四郎さんが 堆肥(たいひ)に 埋まった状態で見つかったんですね
重要な役割を 演じることになるのが ハナさんという 太郎さんのお母さん(アヤ子さんの義妹)と 近隣住民のIさん、Tさんです それを ちょっと 覚えておいてください
確定判決は わざわざ 彼らの人間関係を 認定して 「アヤ子さんは 一家を取り仕切っていた人物である 被害者 四郎さんは 一族の厄介者 の存在で 皆は 快く 思っていなかった この日は みんなは 結婚式に 出払っていた 四郎さんは 朝から 呑んだくれていたので 結婚式には 連れて行ってもらえなかった 四郎さんは 泥酔した状態で 酒とか玉ねぎとか 食料を買いに行き 途中で 自転車ごと 側溝に 落ちた 引き上げて貰ったが 四郎さんは そのまま 道路で 何時間も 寝そべっていた そこへ Iさん、Tさんが 通りがかり 軽トラに 乗せて 四郎さんの家の 玄関の土間に降ろして行った
他に 証拠がないので 目立った外傷がないので 多分 絞殺であろうと 想像する この「大崎事件」は 非常に薄い 弱い 証拠構造であることが 当時から言われていたんです
この事件の特徴は アヤ子さんは 一度も 自白してません
私は 一番下の弟が 知的しょうがいがあるので 身をもって わかります
3人は 法廷では 語れないんですね 裁判所は すらすら 語れている検察官の 調査の方が 信用できる ということで これを 証拠認定して 有罪に しています これだけでも 私は 許せないと 思います
アヤ子さんは 刑務所で 「仮釈放」といって「罪を認めたら出してやるぞ」と 3回言われていますが 3回とも 断ってきました 「ウチはやちょらん」と
今 第4次再審請求が棄却されてしまったわけです
再審開始要件は 刑訴法第435条6号に ほとんど 書いてあります
このなかの 新証拠の明白性(無実を言い渡すべき明らかな証拠)という文言に対して
1975年に 最高裁が出した「白鳥決定」では
「城 新鑑定」は 城哲男鑑定人(鹿児島大学法医学教室教授)が 「あのとき(捜査官側の証拠として)出した私の鑑定(「城 旧鑑定」)は 間違ってました」と言って 新たに 弁護側の新証拠として 法医学者の良心に基づいて 出した鑑定であり それを遺言のように言うと 城先生は 亡くなってしまわれました
地裁の笹野決定 再審開始
高裁の岡村決定 再審開始を認めない
「大橋・高木鑑定」では 四郎さんの遺体の所見として 頸椎前面の出血は いちばん奥深いところが 出血しており 首絞めじゃないと 見ただけで これは 首が後ろにそり過ぎたために 出来た出血だと 鑑定されました
3人の 共犯者の「自白」の分析を してもらいました
鹿児島地裁の中牟田決定は 酷い決定 たった29頁で 棄却でした
このとき 「これほどの 再審格差があっていいのか」と わたしたちは マスコミにリークしました
それにより 213点の 新証拠が 開示されました
しかし 先ほどの 脇役のハナさんの「目撃供述」が 突然 舞台に引っ張り上げられて この「目撃供述」は信用できる として 第二次再審請求は棄却 幕切れとなりました
第三次再審では 「今までの法医学鑑定とは違う法医学鑑定」と言われる 吉田鑑定が 出てきます
吉田先生は 写真を見て 「白っぽいご遺体ですね」と 言われました
写真で 赤黒く見えるのを 死斑といいます これは うつぶせで 死んだら 顔・胸が
四郎さんは うつぶせで 亡くなっていたのに 赤っぽくなかった
体のなかで 内出血 起こして 死んじゃってる場合も 死斑は出ません
事故死である 出血性ショックだった というのが 吉田鑑定です
このときの 鹿児島地裁の 冨田決定は 大橋・高木鑑定と 吉田鑑定の いずれにも 初めて 刑訴法435条6号に基いて 「明白な証拠」と 認められた 画期的判決でした
即時抗告審の 根本決定は
大橋・高木鑑定は 証拠能力を否定し 吉田鑑定だけ 認めました
第3次再審 最高裁 小池決定は
全部で13頁しかなく 事実上は 5頁半でした 高裁判決では 96頁 ありました
「法医学鑑定は 死亡時期が 判定できない」と 難癖付けて 「死亡時期が 明らかじゃやないよね だから Iさん Tさんの 死体遺棄は 考えられなし 3人も 自白してるんだから 事件の 再審を 認めないね」 と言っています
だけども わたしたちは 闘い続けないといけません
死亡時期は 午前10時半には 四郎さんは もう 亡くなっていたと
Iさん・Tさんの 「生きている四郎さんを 土間に置いて行った」 という 供述は そんなに 信用できるものではないでしょう
続いで 出てきた 「澤野鑑定」では
実は さきほどの城先生(城哲男鑑定人、鹿児島大学法医学教室教授)が 「大崎事件には 法医学者に分からない部分がある 臨床医に聞いてくれ」と 言い残しておられました
澤野先生は 四郎さんは 小腸腸管の壁が 傷が入って 運動障害 起こしていたと 鑑定されました 道路に ずっと 二時間半も 寝そべっていたのは 運動障害があったためである その後 細胞が 壊れ始め 四郎さんは 死に至ったと
四郎さんの首は 全く保護されてません そんな状態で Iさん・Tさんの 軽トラックにのせたら もっと 神経麻痺起こして 呼吸停止状態になり 数分内に 確実に 死んでいたよね ということで わたしたちは 死亡時期が 確定しました
私たちは まだまだ 手練手管ですよ その後 亀石倫子弁護士が加わって 大崎新時代を 向えたと わたしたちは 言っています 彼女は クラウドファンディングを 行い 以下のことを 実現させました
周防監督による実写再現
Iさん、Tさんの供述 3DCGアニメーション再現
Iさん、Tさんは 頸椎保護を 全くできていないよね
ここまでやれば さすがにみとめるでしょう
ところが 2022年6月22日の 中田決定(中田幹人・鹿児島地裁 裁判長)は どんな決定だったか?
澤野鑑定は 認めざるを得なかった
転落事故から 呼吸停止までは 認められた
それなのに 「城旧鑑定」が ゆらいだからといって 有罪認定すぐには 生じないのだと言い
「澤野鑑定」とは別に Iさん、Tさんの供述は 信用できるから認めないと言っている
稲葉鑑定と 大橋・高木鑑定は どちらも 証拠能力を否定
棄却
この中田決定は どこがおかしいか?
自白の信用性は 死体遺棄の犯人が誰なのかを差しはさまないと 疑われないと思っていることが問題
大崎事件でも 名張毒ぶどう酒事件でも 旧証拠の 証明力が 減殺されていることを 無視していることが問題
これを 許してしまったら 再審請求を重ねている事件は ほぼほぼ 認められないことになります
そして 車の両輪として「再審法の改正」を 急速に 進めていかないと また おなじようなことを 繰り返してしまいかねないので それを 今回の決定の教訓にしていかなければいけません
※質疑応答の全文起こし
石塚伸一・龍谷大学法学部教授、前犯罪学研究センター長
法医学の専門家の方が 「こりゃ 無罪ですよ」との コメントを 下さっています
僕 ちょっとおもうんですけど 最高裁は 事実認定をしていたら いまの 第4次の鹿児島地裁は こういう判断には ならなかったと いうことですよね
鴨志田
小池決定の罪は まったく重いです
石塚
和歌山カレー毒物混入事件(の研究)を やってるんですが 最高裁は 「事実認定は 変わらない」と 言っている 最高裁は 「事実誤認 ごめんなさい」と ちゃんと 言わなければ いけない 義務が ある と思うんですが
と 不満を言いながら ぜひ 質問は 次回は 8月の22日になります ということで 次回は お答えできるように 努力しますんで よろしくお願いします
※今日の文字起こしのソースはこちらです
2022年7月11日(月)
主催:一般社団法人刑事司法未来(CJF)
共催:龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-10719.html
第2回 再審弁護とは ~「針の穴にラクダ」を通すための手練手管~
講師:鴨志田祐美 氏(京都弁護士会)
【趣旨】
法廷で華々しく無罪を争う刑事弁護の「本流」から遠く離れた辺境でしなやかで型にはまらず当たって砕ける試行錯誤を繰り返してきた鴨志田氏の弁護実践を通して、刑事弁護、刑事司法とは何かを問いかける全5回のシリーズ
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